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インドで買ったシタール

今日は会社帰りにメスダルと渋谷で待ち合わせ。
一昨日、渋谷のいかがわしい地域にある「山家」という安酒場に大切な帽子を忘れてしまった。後で電話をすると、「毛糸の帽子だね。取っておくから大丈夫だよ」と言われたため、それを取りに行くのが目的であった。しかし、店員の中国人のおばさんに尋ねると、彼女は「没有(メイヨー)」ならぬ「ナイヨー」と言う。そんなはずはないと食い下がったが、「ステタカモシレナイヨー」という悲しい返答。僕らはがっくりと肩を落とし、店を後にした。
やり切れぬ思いのまま本屋に立ち寄り、紀行書コーナーへと向かう。虚ろな頭を平積みの棚へ向けるや、僕は目をクワッと見開いた。「おぉぉ・・・、堀田あきお&かよさんの新刊じゃないか!」 堀田さんの作品には、貧乏旅行者の感じる旅の臭いや熱が詰まっている。「アジアのディープな歩き方」なんて、何度読み返したことだろう。大興奮のままレジへと直行した。書店を出た我々は・・・、
書店を出た我々はスキップしながら井の頭線に乗り、吉祥寺駅へ出た後もスキップしたまま改札をくぐり、そのまま幅跳びの要領でインド料理屋のドアへ突っ込み、マトンカレーを胃が割れるほどかっ食らった後、幸せな気分で家へ帰った。帽子のことなどもうすっかり忘れていた。
さて、今回の作品「アジアのハッピーな歩き方」には、作者ご夫婦が旅をした時に出会った出来事を、短編としてたくさん纏めたものなのだが、その中の1つに、インドのヴァラナシでシタールを買った時の話が載っていた。読むと、楽器店の個室で演奏を聞かされた後、「日本で売ったら○○円になる」などと言葉巧みに説得され、半ば騙されたような状態でシタールを購入。クソ重いケースに入れて死ぬ思いで日本まで持ち帰るも、すぐに部屋の飾りと化したといったようなことが書かれていた。それを読んで腹をかかえて笑った。そして笑いが収まらぬままフと横を見ると、顔からスっと笑みが消えた。
あるのである。僕の部屋にもインドで買ったシタールが。しかも、楽器屋の個室に連れて行かれて、超絶技巧の演奏を聞かされた後、巧みな話術に引っかかって購入。激重なケースに入れたシタールをうんうん言いながら日本に持ち帰ったはいいが、チューニングの時点で断念。この5年間はというと、部屋の隅っこで、帽子用のハンガーという屈辱の役割をのみ果たしている。・・・ほぼ9割方、この漫画に出てくる話と同じじゃないか。
いや、ひさびさに日記を更新しました。旅を終えて1年、最近また旅の虫が長い冬眠から目を覚まし、腹の中で「旅の空気を食いたいよー、ハラヘッタヨー」と鳴き始めているのであります。旅の虫よ、もう少し待っておくれ。僕らにはまだ、先立つものが無いのだヨ。
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