世界13カ国を夫婦で貧乏旅行した時の世界一周旅行記。帰国後は登山と自転車のことなどを中心に。

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ベナレスの火葬、人の体液

美しきガンジス河の画像

ヴァラナシに来て3日が過ぎた。6年前にも1度ここを訪れたことがあるけれど、ガンジス河周辺の様子は全くといって良い程変わっていない。迷路のような小路とどこまでも続くガンガーの岸辺に、相変わらず世界中から集まったバックパッカーと、彼らから金を得ることばかりを考えているインド人、それから牛・犬・山羊等の様々な動物達が共生している。

僕達がゲストハウスの場所を確かめようと道の角に立ち止まって地図を広げると、早速1分もかからない内に胡散臭いインド人が寄ってきて日本語で話しかけてきた「ドコノ宿探シテル?」そこで僕らが「プジャ・ゲストハウスだ」と返答すると、「Oh! ワッタシソコデハタライテルヨ」といって勝手に僕らの前を歩き始め、振り返って「カムカム」等と言う。もし彼が僕らをゲストハウスまで連れて行くと彼らの懐には1日の宿泊代の50%が入ることになる。

僕が「自分で行くからいい。着いて来ないでくれ」といって左手で彼の腕を触ると、「Why you touch me!」と突然切れ出した。不浄の手で触ったからであろうか。訳が分からない。兎に角彼を振り切って自分らだけでゲストハウスに着くと、彼は先回りして既にプジャ・ゲストハウスに辿り着いており、「ほら、俺はここで働いているだろ?」と言った。しかし、1日中ゲストハウスでのんびりしていても、彼の姿を見かけることは無い。やはり彼は単なる客引きなのだろう。
 
ベナレスの10歳くらいの少年の画像。生意気そう~
ベナレスの子供は7歳くらいから一人前に金を稼ぐ


彼に関わらず、道を歩いていると気が休まる日もないくらいの頻度でインド人に様々な勧誘を受ける。「ボート?」「チョコ、ハッパ?」「ジキジキ?」「イクスチェンジ?」等など。彼らの大半は、最初は強い口調でこちらに近づいてくるが、一旦金を渡すと次に会った時からは「オーマイフレンド」と親しげな顔で握手を求めてくる。

これは彼らの少年体験が影響しているように思われる。実際ヴァラナシを歩いていると、5歳やそこらの子供が、商売をしながら覚えた外国語を駆使して、1枚2ルピー(4円)のポストカードを売りさばいたり、ゲストハウスを紹介して仲介料を得たりしながら、自分の力で生き抜いている様子を見ることになるだろう。彼らは髪を油で撫で付け、ガムを噛み、肩で風を切りながらヴァラナシの小路を闊歩している。

その様はまるで映画「ロストチルドレン」に登場する子供ギャング集団のようだ。逞しくも悲しく歪んだヴァナシの子供達。しかし、幼少の時分からそんな人生を歩んできているのだから、僕らには考えもつかないくらい金にシビアで歪んでいるのは当然なのかもしれない。このような子供を生み出す悪しき仕組みがいつかなくなることを願ってならない。

さて、僕らは昨日、ここを訪れた人は必ず1回は見ることになる名所の1つである火葬場を見に行ってきた。火葬場では朝から晩まで薪にくべられた遺体がゴウゴウと炎に包まれている。僕らも遺体から僅か1~2メートルの至近距離で、灰褐色の煙を勢い良く吐きながら灰になっていく様子を眺めてみた。遺体は最初オレンジ色(女性の場合。男性は白)の布に包まれており、一度ガンジス河の聖水にジャブジャブと浸された後で薪にくべられる。これを間近で見ると、なかなかガンジス河でバタフライをするといった気分にはなれない。

布は炎によってすぐに消失してしまうので、薪からはみ出た頭と足の部分が外に露出する。この露出した肉体が徐々に炭化していく様子を眺めていると、肉体が強く熱せられた際、まるで薬缶の水が沸騰して外に湧き出すように、開いた口や鼻の穴から、胃液のような黄色い体液がブクブクと泡に混じって噴き出しているのが見て取れる。これはなかなかにショッキングな場面のはずであるが、聖地ヴァラナシで見ていると何の感慨も浮かんでこないから不思議なものだ。

この体液を吐く状態は長くは続かず、すぐに黒焦げの丸い塊になる。そして今度は、身体が崩れた時に蒔の中から出ないよう、長い棒でグシャグシャと突かれる。遺体は最後には小さな灰と化して、ガンガーに流される。火をつけてから焼き切るまでの時間はせいぜい2時間から3時間。それぞれの人が子供の頃に母親の乳を吸って育ち、やがて青年になって恋をして、結婚して家を建て、そして老いて死に至る。

それは本人にとっては長い長い記憶だけれど、その記憶はたったの2時間でこの世から消滅してもはやどこにも存在しない。別に当たり前のことなのだけれど、何か説明不可能な無常さというか不安というか、そうした感情を少なからず覚えずにはいられない。

けれどそれは日本においても同じで、考えてみればかえって日本などは、番号札の順番が来たら巨大なトースターに入れられて、親族が待合室で茶をすすっている間に焼かれて、タイマーにセットした時間通りにチーンと音がして、「ヘイお待っとさん、インスタント舎利頭の一丁上がり」といった具合なのだから、我が国の方があっけないといえば余程あっけないのだけれど。

結局どの国もどの人もそれは同じことなのだろう。これは至極当たり前のことなのだから、あまり深く考えて自己陶酔に浸ってはいけないのだ。ここにいると旅を色眼鏡で見てしまいがちで、実際そんな自分に陶酔した旅人をよく見かける。それはそれで楽しくて良いのだろうけれど、僕はそうしたくない。僕の旅は、違和感を楽しみつつも、可能な限り世界をフラットな目線で捉えることだから。

ヴァラナシは明日の17時に発ち、今度は深夜列車でコルカタ(旧カルカッタ)へと向かう。

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コメント

元気ですか??2日前ぐらいにインターネットで会った日本人です!おもしろブログかいてますね☆またこれから見ていきます!それでは~☆

いいなあ、バラナシ!
あのヨーグルトと体臭とゴミとスパイスと牛糞と自分のTシャツの汗臭さの混じった匂いがいまだに鼻に残ってます。

火葬の話、とても興味深く読みました。
日本にいたらおよそ見られない光景ですね。
日本の火葬場は結構不思議な場所だと思います。
立ち上る煙が味わい深い。
ロストチルドレン、観ようと思ってまだ観てない映画のひとつです。

れすだる

たつさん >
おぉ~、うれしいです。僕らは今コルカタにいますが、たつさんはまだヴァラナシでしょうか? もう少しお話したいなぁと思いつつも、ネットカフェだったのであのまま別れてしまいましたね。ではではよい旅を。

タコさん >
あぁ、自分のシャツが臭いって言ってたね~。僕もきっと臭いんだろうなぁ。ハエとか蚊が自分の周りばかり飛んでいるんだよね。なんでかなぁ。

jammy さん >
ありがとうございます。確かに火葬場の煙突から出る煙って独特の雰囲気を持っていますよね。「ロストチルドレン」は同じジュネのアメリとは異なり、好き嫌いが分かれるかも。丸尾末広とか乱歩の世界が好きな人に受けるかも(違うかな?)。

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