世界13カ国を夫婦で貧乏旅行した時の世界一周旅行記。帰国後は登山と自転車のことなどを中心に。

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隠れフラメンコ

セビーリャの隠れフラメンコの店の画像
隠れフラメンコの店

セビーリャに来てからの退屈な気分は一体どこから来るのかと考え続けたところ、理由の1つとして、今泊まっている部屋の環境が悪いのだと思い至る。

僕らの泊まっている部屋は4階建の宿の1階。壁にはかろうじて小さな窓が開いているが、そこからの眺めはというと、口の字型に建てられた宿の真中に、申し訳程度に作られた1メートル四方の中庭。そこには日中も光が差さないため植物は育たず、掃除婦が仕事をする為の大きな洗面台とモップがいつも置かれている景色が切ない。当然僕らの部屋にも日は射さず、従って朝起きると暗い。だから気分も暗い。

 
そうした単純な理由が1つと、旅に退屈さを齎すもう1つの重要な理由は、ヨーロッパ(僕の訪れた範囲に限るが)に於いては、金を支払った分と等価のサービスしか得られないということだとか、旅を途中でイレギュラーな事態に遭遇しにくいといったことも原因しているような気がする。何というか、得をした損をしたといった金銭面での揺れだとか、列車が何時間も遅れたとか、怪しい奴に話し掛けられたといった時間や感情の揺らぎみたいなものが少ないのではないだろうか。

揺らぎのないところには蟠りが生じる。極論を言えば、その揺れすらも金で売り買いしているようなところを感じるのであり、こうなってしまえばこれは「旅」ではなく「観光」でしかない。意図的に人に話し掛けることで揺れを作ることもできなくはないが、典型的な日本人的性格の持ち主である自分としては、願わくばその揺れは向こうからやってきてほしい。

ウンヌンカンヌン・・・なーんてことをベットの上で天井を見つめながら悶々と考えている哀れな自分に気づき、まぁ頭で考えるのはやめにして、取り合えず外に出ましょか、ってな具合で散歩に出かけたのだが、セビーリャでは気楽に雲を眺めながら散歩をすることはできないことをすぐに思い出した。というのが、セビーリャの道路には犬の糞が至る所に落ちているからである。

しかもこの町の犬人口に占める大型犬の割合は推定70%におよび、シェパードだのハスキーだのがそこいら中で人並の糞をひり出していくものだから、うっかり雲を眺めて「風雲流水」などと呟こうものなら、次の瞬間には糞を踏み、糞尿地獄に落ちているといった具合。更に悪いことにはセビーリャでは首輪をする習慣が徹底されていないから、放し飼いのシェパードが前方からハッハ言いながら向かってきたりするので、これまた心臓に悪い。

ここと比べるとプラハは良かった。チワワ等の小型犬が多くを占め、町のあちこちに犬の糞を入れるための袋が用意されていたから、犬の糞が落ちているのを見かけることは稀であった。それに大型犬には口輪をすることが義務付けられているから、噛まれる心配もなく。散歩好きの諸君にとっては大変に心安い環境なのであった。スペイン語で犬は「ぺロ」、チェコ語では「ぺス」と言う。犬の呼び名は一字違いなのに、その飼い方には随分と開きがある。セビーリャの諸氏にも是非このプラハの犬環境を見習ってほしいと思う。なんて、何故僕は今、こんなに熱心に犬講釈をしているのでしょうか。

ついでだから書くと、僕の見てきた範囲で犬にとって最悪の土地はインドのベナレスである。ここには相当数の野良犬が生活しており、メス犬はオス犬に無理矢理犯され、その結果、子犬も無理矢理この世に生を受ける。しかしその母親は栄養失調のため母乳を授かることも叶わず、子犬は牛の糞を喰らって飢えを凌ぐしかない。牛の糞などを喰らえばどうなるかというと、考えるまでもなく下痢をする。暑さと下痢とでふらふらになって狭い路地を歩いていると、そこを大きな牛が通りかかり危うく踏み潰されそうになるも、寸でのところで避ける。

しかし、そこをたまたま通りかかった、賭け事に負けたインド人男性に腹立ち紛れに思い切り腹部を蹴られて内臓破裂。それでも何とか生き長らえるも、半年後、謎の寄生虫に犯され、僅か1歳半にして再び輪廻の輪の中へと還っていくのであった。生存本能に従って生き続けねばならぬが、この世こそ地獄。彼は死んで漸く極楽へと赴くことができたのである、と思ったら輪廻転生して今度は名もなきプランクトンに生まれ変わり、一瞬で魚に呑み込まれました。・・・と、適当に書いてみたけれど、ヴァラナシの犬は大体がこんな感じなのだ。

下痢をする子犬、インド人に軽い気持ちで重いキックを食らっている犬を僕達は何度となく目にした。生まれたところが悪かったとはいえ、たかが運1つで地獄の一生を送ることを強制されるこの世の仕組みについて・・・いけない、また妄想に入ってしまった。旅をしているとこういうことを考える時間だけは幾らでもある。

いいかげん犬の話は切り上げよう。そう、僕はセビーリャの町を散歩していたのである。が、散歩については特に書くべきこともなく夕方までただ歩き続け、夜10時過ぎからは地元の人で賑わう隠れフラメンコの店へと出かけた。細く入り組んだ路地の中にあるこの店は日中なんの看板も出していない。夜遅くに店が開いた時にも、入り口は外の扉から内玄関を挟んだ1つ中にある。だから、この店の存在を知らない人にとっては、まずここが飲み屋であるということに気づくことはないだろう。

仮にもし、好奇心旺盛な旅行者が、内玄関まで入ってきてガラス窓から店内を覗いたとしても、まだそこで夜な夜なフラメンコが踊られていることには気づかない。というのは、内玄関のドアを開けて中に入ると、そこはしごく小さなバーでしかないからだ。

実はそこから更に奥にもう1つのドアがあって、それを開けると、突如200人以上は収容できると思われる広いホールが現れる。ホールとはいっても作りは雑なもので、屋根はトタン、椅子は材木にニスを塗って横に並べただけのもの、といった具合だから至って商売っ気がない。ではこのフラメンコ会場の入場料は幾らなのかといえば、何と酒を一杯頼むだけで良いのである。

こんな調子だから、ここに集まる人は見たところ6割がスペイン人、きっと地元の人たちなのだろう。踊りが始まる前から勝手に盛り上がり、客の中にには、フラメンコの手拍子を取って大声で歌っている人たちもいる。ふと横を見たら、映画「ピンク・フラミンゴ」に登場していたような、巨大な体にボーリングの玉のような胸を乗せ、常に怒ったような顔をしたオバチャンがトイレに入っていく姿が目に入った。

あぁ、あんな女性でもフラメンコが好きなのだな、いや、自分が踊れないからこそ好きなのか。などと、失礼極まりないことを考えていたら再びトイレのドアが開いた。中から現れたのは、華麗なるフラメンコの衣装を身に纏った先ほどのオバチャン。あっ!彼女が踊り子であったか!!

ヘビー級のフラメンコかあちゃんの画像
ヘビー級のフラメンコかあちゃん

彼女が舞台に上がってステップを踏み出すと、その踊りは期待を裏切らず超へヴィー級。ズ怒怒怒怒ドンッ!!と床にヒールを打ち付けた時の音は、まるでへヴィ・メタルのドラムのよう。つい先程まで賑やかだった観客達もこの音に呑み込まれ、すっかり踊りに見入っている。彼女が踊りの最後に両手を上げてポーズを決めた途端、場内のあちこちから「オーレイ!!」の掛け声が上がった。これだ、これ。この腹の中から湧き上がってくる熱気を僕も求めていたのだ。

といった感じで曇り気味だったセビーリャでの僕の気分も、最後は気持ちよく晴れで幕を閉じ、翌日深夜のバスに乗って陸路で国境を越え、次の訪問地、ポルトガルはリスボンへと向かうのであった。

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コメント

以前友人に、「習いに行こうよ。フラメンコ」
と言われ、丁重にお断りしたことがあるよ。
習ってたら今頃は・・・

れすだる

ふーみん >
今からでも遅くないよ!

ふーみんのフラメンコ・・・・
楽しみにしてます。

メガネフラメンコ☆オーレッ

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