世界13カ国を夫婦で貧乏旅行した時の世界一周旅行記。帰国後は登山と自転車のことなどを中心に。

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トランコーゾ、ハキリアリ

トランコーゾの田舎道を撮影。どこか沖縄の波照間島に似ている
トランコーゾの田舎道。まるで沖縄のような景色

トランコーゾ2日目の朝。ポサーダ(宿)の前にある公園へ出ると、数羽のハチドリが翼を羽ばたかせながら宙に浮かび、スポイトのような嘴を伸ばして、薄桃色のハイビスカスの蜜を吸っている場面に出くわした。動物・植物とも日本では見たことのない種類の生き物。しかも動植物園ではなく、町の中で自然に見ることができるなんて、ちょっと嬉しい。

日差しの柔らかい内に遠出をして、あちこちを散歩してみる。道で出会うブラジル人の人たちは大概「Oi!」と挨拶してくれたり、ニコっと笑いかけてくれる。この村の人々はまだそれ程観光ズレもしていないようで、目が純粋で優しい人が多い。どこの国にも共通して、都会から長距離バスで移動して小さめの町村を訪れると、旅人の求めている景色や人々に出会いやすい気がする。

さて、その日の夜、レストランへ向かおうとポサーダを出た時のこと。いつもの如く公園の横を歩いていると、メスダルが「わっ、何この動く塊!」と叫んだ。

見ると、公園と道路を仕切る縁石に沿って、20メートルはあろう黒い塊が蠢いており、遥か向こうの暗闇の方まで続いている。これはと思い2人で顔を近づけてみると、メスダルが叫んだ、あぁ~っ、この虫、あたしの好きなハキリアリや!!」 成る程確かにその黒い塊の中にチラチラと緑色が混ざっており、よく見ればアリが葉の切れ端をエイサッ、エイサッ、と運んでいるのであった。ハキリアリは大きな口顎で葉を噛み切り、それを巣の中に運び、葉の上でキノコ栽培をするという非常に賢い蟻として、日本でもお馴染みの昆虫だ。

蟻好きの我々はもっと良く見てみようと、一端ポサーダへ引き返すと、ヘッドライトを手に持ってハキリアリの作業現場へと戻った。明かりで照らして観察すると、大きさの異なる複数種類のアリが移動していることが分かってきた。運んでいる奴は体長1センチ以上はある大き目の蟻が多く、小さめの蟻は何も持っていないか、クッキーの屑のような小さな欠片のような物を持っているようだ。ヘッドライトの明かりを、蟻の隊列に沿って移動させてみる。すると1枚の葉っぱのあたりにハキリアリがイシュウしているところにぶち当たった。早速近づいて様子を見る。どうやら葉を噛み切る役目は、力の強い大きい方のアリが担当しているらしい。

ハキリアリの写真。関係ないが、ドミニカ共和国にもいるらしい
ハキリアリ

そこでオスダルが更に驚きの声を上げた。「おっ!!こいつの顔をよく見てみなよ。頭部に大きな鉄アレイのような瘤が2つ付いているぞ。なんか見覚えがないか・・・そうだ、この蟻はポルトセグーロで見た、ピボットテーブル蟻だ!そうかー、あの鉄アレイのような顎は、硬い葉を噛み切る為のものだったのか!」実は僕らは既にポルトセグーロでこの蟻を見かけていたのである。ただその時は葉を運んではおらず、ただ土の上をうろうろとしているだけだった。もしかして彼らは夜に農作業を行うのであろうか、いや、前にテレビで見た時は日中だったぞ。

ともあれ、この次に我々が取り掛からねばならないことは、ハキリアリの巣を発見することである。蟻の後をずっと追いていくと、隊列は公園の中まで続いているようだ。馬糞を踏まぬようヘッドライトで地面を照らしながら注意深く巣を探す。隊列は歩きやすさを考慮してか、人間の作った道の上に組まれており、しかし途中から草むらの中へと続いている。

道路から10メートル程公園の草むらへ入ったところにそれはあった。巨大なクレーターのようなハキリアリの巣。真ん中には人間の大人の拳ほどもある巨大な穴がポッカリと開いており、そのトンネルの奥から出てくるは、出てくるは。蟻も巣もあまりに大きいので、裸眼で見ているのに、まるで日本の蟻の巣を虫眼鏡で見ているかのような錯覚を起こしそうになる。

むらむらと沸いてくるのは、この穴にミネラルウォーターの水をドボドボと入れたらどうなるだろうという悪の心。巨大な蟻達が洪水地獄に陥って阿鼻叫喚の声を上げる(いや、蟻だから声はあげない)様はさぞや凄い迫力であろう。しかし僕らは思いとどまった。

20メートル以上もの長い距離を、重たい葉の切れ端を持って懸命に仕事をしている彼ら。そして自分らでキノコを栽培して食事にするというエコロジカルな精神。そんな彼らを出来心で大量虐殺しようなどと考えてはいけない。それよりもこのアリをアントアクリウム(半透明のジェルの中で蟻を飼育できる教育教材)の中に入れて、キノコ栽培の様子を観察してみたい。

そして今、部屋に戻ってこの日記を付けている。ブラジルという人も土地もスケールのでかい国へ来たというのに、僕の目線はどこまでもミクロ。と、大きな鳥のような影が壁の回りを猛烈な勢いで動いている。驚いて上を見ると、白熱灯の傍を飛び回っている蛾の影が、実物の何十倍にも拡大されて壁に映っているのであった。まるで天然の映写機みたいに。

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コメント

土の坂道

土むき出しの坂道の光景は、昭和の日本なら、そこここに、見られた光景。もちろん、函館山の麓でも。
いい光景です。

れすだる

セウ/モリオ さん >
作った理由は色々あるのかも知れませんが
アスファルトなんてなかったら良いのにと思います
土の匂いが好きです

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